尿路結石症の治療には漢方薬の併用が有効

 
尿路結石症と漢方薬

 

あなたは、尿路結石の激痛を体験したことがありますか?
できれば、一生経験したくありませんよね。

ここでは、そんな尿路結石の漢方薬での治療法をはじめ、尿路結石の原因や治療法などを学んでいきます。

花田サキ

 

尿路結石は、腎臓、尿管、膀胱、尿道などの「尿路」に結石が出来るもので、20代から40代の男性に多く見られます。

尿路の結石は尿中の成分が固まって出来たもので、砂粒程度のものからかなり大きいものまで様々です。

結石が大きい場合や小さくても症状が激しい場合には、西洋医学的治療を優先します。
小さい結石は、半年位のうちに自然に排出されることが多いですが、そうした自然排出を促し、痛みの緩和させるために漢方薬が使用されます。
また大きな結石で西洋薬を優先する場合でも漢方薬を併用することで、症状の軽減や再発の予防などの効果が得られます。

尿路結石症の治療に使われる漢方薬

体力がない、胃腸も弱い(虚証)

  • 猪苓湯(ちょれいとう)
  • 四物湯(しもつとう)
血尿が激しい
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
胃腸虚弱、冷え性、貧血
  • 大建中湯(だいけんちゅうとう)
強い腹痛、腹部の緊張、嘔吐

体力はふつう(中間証)

  • 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
強い疼痛発作、排尿時の痛みが強い
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
排尿困難、血尿
  • 猪苓湯(ちょれいとう)
排尿痛、血尿、口渇、頻尿、汗が出ない
  • 六味地黄丸(ろくみじおうがん)
口渇、尿量減少、結石再発

体力は比較的ある、胃腸も丈夫(実証)

  • 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
排尿時の痛みが強い。血尿、便秘傾向
  • 大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
下腹部の圧痛、排尿困難が強い
  • 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
排尿困難、便秘、冷え、のぼせ、肩こり

※「虚証」や「実証」についてはこちら→「漢方薬の選び方~診断方法を知ろう~

ここからは、尿路結石症について詳しく学んでいきましょう。

花田サキ

尿路結石症とは?

尿路結石と言っても様々な部位がある

結石のある位置で、名称が変わります。

  • 腎盂や腎杯にある場合:腎臓結石
  • 尿管に下がってくれば尿管結石
  • 膀胱内にある場合:膀胱結石
  • 尿道の途中にある場合:尿道結石

これらを総称して尿路結石と呼びます。

腎杯・腎盂を鋳型状に占め、サンゴのような形状で腎臓内にできる大きな結石をサンゴ状結石といいます。

1995年に発表された全国規模の調査によると、日本人の約15人に1人が一生に一度は結石に痛い目に遭わされている、というデータがあるほどに尿路結石は頻発する病気です。

男女差でいえば、男性2以上:女性1の割合です。
青年期から壮年期にかけて多く、子供はあまりかからない病気です。

結石ってどんなときにできやすいの?

結石の成分は、シュウ酸化カルシウムとリン酸化カルシウムが大半を占めています。
その次には、リン酸マグネシウムアンモニウム、尿酸、シスチンの順です。

気象条件、水道普及率、食生活などがある程度、結石に影響を与えているのではないか、といわれています。
高温多湿での労働やストレスも結石ができやすい条件とされています。

尿路結石の大半を占めるシュウ酸化カルシウムがどういった経緯でできるかは未だにはっきりと分かっていません。
尿酸、シスチンは代謝異常だということはわかっています。

尿路結石症の症状は激痛と血尿

あなたは人が感じつ痛さで3大激痛って知っていますか?

  • くも膜下出血
  • 心筋梗塞
  • 尿路結石

がそうだといわれています。
もし、あなたがこの3つを経験したことがなければ、今までで経験したことがない激痛、疝痛(せんつう)が尿路結石の症状の特徴です。

疝痛

腎臓にあった結石が腎盂尿管移行部や尿管へ下がってきて、石のある側の背中や脇腹にかけて激しい痛みの発作が起き、寝ることもままならず、転げ回る程の痛さです。
冷や汗をかいて七転八倒します。

尿路結石で痛みの出る場所

尿路結石で痛みの出る部位

  • 腎臓結石が腎盂尿管移行部に詰まると側背部痛
  • 尿管結石では、側腹部から背部にけけての疝痛
  • 結石が下降すると、外陰部から大腿部へ痛みは移動する
  • 吐き気、嘔吐:胃痙攣や胃潰瘍と間違われることがある
  • 右側の尿管結石の場合:虫垂炎と間違われることがある
  • 女性の場合:卵巣嚢腫茎捻転(らんそうのうしゅけいねんてん)と間違われることがある

ので、判断には気を配りましょう。

ですが、いつでも疝痛が起こるわけではなく、特に大きな結石の場合には、鈍痛が時々ある程度であったり、全く症状が出ない場合もあります。

通常、結石が下がってくるたびに、痛む場所が変わっていき、陰茎や陰嚢に痛みが散っていったり、膀胱炎のような症状が出る場合があります。
膀胱内に結石があると排尿の終わりに痛みや血尿が出たり、尿が途中で途切れたりします。

血尿

もう一つの尿路結石の症状の特徴は血尿です。

程度はいろいろですが、普通は肉眼で確認できるほど尿が赤くなりますが、顕微鏡で診ないと判断できない程度のケースもあります。

結石の合併症に要注意

  • 尿路感染症
  • 水腎症

には要注意です。

細菌感染が起こってしまうと、腎盂腎炎になって、結石が治りにくくなり、抗菌薬の投与では細菌をなくすことができなくなり、結石がさらに大きくなる、という悪循環を生み出すことになってしまいます。

特に、大きすぎて症状が出ない結石が腎盂や尿管に長い間停滞しているケースでは、水腎症が高度になり、腎臓の働きがなくなってしまうこともあります。
このケースでは、もう片方の腎臓が正常に機能していればほとんど症状が出ないので、手遅れになってしまう場合もあり、特に注意が必要です。

尿路結石症の診断方法

尿路結石は、痛みからだけでは他の病気と間違われることがよくあります。

まずは、尿検査を行って、血中に赤血球が出ているかを見極めます。
その後、腎、尿管、膀胱部のX線単純撮影を行います。

結石の大きさ、数、おおよその位置、などを判断します。

尿酸結石などは、単純撮影では写りにくいので、エコーで確認します。

水腎症の程度(尿路の閉塞度合い)を確認するには、超音波断層検査や経静脈的腎盂造影(排泄性尿路造影)を行います。
場合によっては、腹部のCT、逆行性および準構成尿路造影などを行います。

その後で、尿の培養、血液や尿の成分の確認、必要な場合は腎機能を確認する腎シンチグラフィーなども行い、治療方針を決定します。

尿路結石症の治療方法

ここでは、主に西洋医学的な治療法を説明していきます。

疝痛発作は「痛みの大様(king of Pain)」と呼ばれる激痛です。
一度経験すれば忘れられないほどの痛みです。

非ステロイド抗炎症薬の坐薬が一般的に有効とされています。
1回の発作が半日以上続くことはなく、必ず強弱があり、発作がないときには全く痛みがありません。
しかし、時には、鎮痛薬の注射や、硬膜外麻酔が必要なほど激痛が走る場合があります。

自然に排出されるのを待つ、保存的療法

直径が5mm以下の結石は自然に排出されることが可能なので、はじめは保存的療法を試みます。

結石の保存的療法とは、水分を十分に摂り(1日2リットル以上)、痛みのないときに縄跳びなどで十分に体を動かすようにします。
普段から全く運動していない人の場合には、いつでも車やエレベーターに乗るのではなく、できるだけ歩くように心がけましょう。

10mm以上の結石の自然排出はなかなか難しいようです。

結石を溶かす夢のような薬があればいいのですが、シュウ酸化カルシウムには現状ではそれはかなっていません。

ですが、シスチンや尿酸による結石の場合には、内服薬とともに、尿をアルカリ化することによって溶かせる例が多くあります。

結石を破砕する治療法

先に出た、結石の保存的療法で治らず、結石の位置が変わらず、腎盂腎炎を合併したり、上部尿路閉塞(水腎症)が長く続いたり、腎機能の低下が懸念される場合には、積極的療法を試みなければなりません。

検診や他の病気の検査のために腹部X線撮影を行ったときなどに偶然発見された症状のない結石を偶発結石と呼びます。
腎杯にはまり込んだ小さな結石はほとんど症状はありません。

尿路結石症の積極的治療

腎結石の場合には、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)が第一選択になります。

  • 経費敵陣結石破砕術(PNL)
  • 経尿道的尿管結石破砕術(TUL)

の併用が必要な場合もあります。

それでもダメな場合には、開腹手術が必要となってきます。

尿管結石の治療

上部尿管結石では、体外衝撃波結石破砕術が第一選択になります。

中部、下部の尿路結石の場合には、経尿道的尿管結石破砕術または、体外衝撃波結石破砕術が第一選択になります。

どちらの場合でも、開腹手術は第一選択にはなりません。

サンゴ状結石の治療

サンゴ状結石の治療は積極的な治療が必要ですが、経験を積んだ専門医によるものである必要があります。

一般的には、経費的腎結石破砕術と体外衝撃波結石破砕術および経尿道的尿管結石破砕術の併用が必要になることが多いです。
きわめて腎機能が低下している場合には、腎摘出手術を行う必要があることもあります。

結石の治療は十数年前までは開腹手術が主でした。
ですが、内視鏡や体外衝撃波による結石破砕術などの進歩で、現在では開腹手術はほとんど行われていません。

それぞれの症例の治療に関しては、結石の大きさ、位置、数、尿路閉塞の状態、合併症の有無などで異なってきます。

様々な要因も含めて、担当医とよく相談して、いつ、どのように治療を受けるのか、きちんと選択する必要があります。

体外衝撃波結石破砕術

からだの外からの衝撃波発生装置の操作で、結石を破壊してしまうという夢のような治療法が現在ではあります。

ドイツで開発され、1984年からは日本でも治療が開始されました。
1988年からは、健康保険の適応になり、現在では多くの施設でこの治療が行われています。

使うそうちによって、麻酔が必要であったり、尿管にある結石の治療がしにくいという差はあります。
また、2~3cm以上の結石やサンゴ状結石など大きな結石のケースには、治療を数回繰り返す必要があったり、内視鏡操作を補助的に行う必要があったりします。

一般的には2~3cm以上の結石であれば破砕された結石の多くは、3~10日くらいで排出されます。

X線写真を撮って完全に結石がなくなるまでには1~3ヶ月かかります。

尿路結石症の再発予防対策とは?

結石が自然に排出された、または、手術で結石がなくなった、ということで大丈夫になったということではありません。

結石の種類でも違いますが、

  • 5年で45%
  • 10年で60%

もの再発率があるとされています。

結石は、このように非常に再発し易い病気なので、きちんとした尿路結石症の再発予防対策と取りましょう。
結石の成分の分析、血液や尿の成分の検査、をしてそれぞれに応じた予防対策を立ててもらう必要があります。

まれに、副甲状腺ホルモンが出過ぎて結石が再発する場合には、副甲状腺の手術が必要な場合もあります。

尿酸やシスチンによる結石の場合には、薬で十分に予防できます。
シュウ酸化カルシウム、リン酸化カルシウムの結石の場合には十分な効果が期待できる予防薬はありません。

水分を十分にい摂る

再発予防対策には、1日あたり1500ml~2000mlくらい、十分に水分を摂るようにします。
結石の種類は違っても、結石予防の鉄板です。

ですが、清涼飲料水、甘味飲料水、コーヒー、紅茶、アルコールの過剰摂取は避ける必要があります。

水道水やシュウ酸含有量の少ない茶類(麦茶、ほうじ茶など)がもっとも適しています。
心臓に問題があったり、緑内障がある場合には医師と相談してください。

野菜、果物もしっかり食べましょう

食事の場合にはシュウ酸を豊富に含む、ほうれん草、チョコレート、紅茶などのとり過ぎは控えましょう。

カルシウムの制限し過ぎは、かえってシュウ酸カルシウム結石ができる危険度を上げますから、程々に摂取することを心がけましょう。
野菜、果物をしっかり摂ることで、バランスの良い食事になりますので、食事全体のバランスも考えるようにしましょう。

定期検診のすすめ

尿路結石症は、出来る限り専門性の高い医師(泌尿器科)に診てもらい、精密検査を受けることが大切です。
結石がなくなっても定期検診を受け、水分を十分摂り、食事にも気を配りながら予防するようにしましょう。

 

いかがだったでしょうか。

結石は日本人には密接した身近な病気だけに、自分がなる可能性も、家族がかかる可能性もあるわけですから、結石に対する知識は持っているほうがいいかもしれませんね。

症状が出ている場合には、くれぐれも自己判断せずに専門医に早急に診てもらいましょう。

花田サキ

 

 

 

 

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