肝硬変に漢方は効くの?原因や症状、治療法など

 
肝硬変と漢方薬

 

肝硬変、英語では「Liver cirrhosis」と言いますが、漢方はどのように関わっているのでしょうか。

不治の病のように言われている肝硬変ですが、医療の進歩とともに変わってきているのでしょうか。

ここでは、肝硬変と漢方薬について書いていきますが、必ず、自己判断せず専門医に診てもらうようにしてください。

早乙女タロウ

 

慢性肝炎が進行すると、肝細胞が破壊されていき、やがて肝臓の組織が破壊されていき、やがて肝臓の組織が繊維化して肝臓が硬くなります。

これが肝硬変で、肝臓の機能が著しく低下します。
加えて、肝臓の血流が悪化し、血液の一部が食堂の静脈などに流れ込むようになり、食道静脈瘤ができやすくなります。

肝硬変は、西洋医学の治療だけでは十分な効果が得られない場合が多く、漢方薬を併用するケースが少なくありません。

肝硬変に用いる漢方薬

体力がない、胃腸も弱い(虚証)

  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
下半身の脱力感、夜間尿、冷え

体力はふつう(中間証)

  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
下腹部の抵抗と圧痛、めまい、のぼせ、頭痛
  • 五苓散(ごれいさん)
  • 茵蔯五苓散 (いんちんごれいさん)
口渇、排尿量と回数異常。嘔吐、悪心、腹痛
  • 小柴胡湯(しょうさいことう)
  • 補気建中湯 (ほきけんちゅうとう)
胸や脇腹が重苦しい。食欲不振、疲労感

体力は比較的ある、胃腸も丈夫(実証)

  • 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
顔面紅潮、のぼせ、頭痛、不安、イライラ
  • 大柴胡湯(だいさいことう)
  • 茵陳蒿湯(いんちんこうとう)
胸や脇腹が重苦しい。便秘、腹水

※「虚証」や「実証」についてはこちら→「漢方薬の選び方~診断方法を知ろう~

ここからは、肝硬変についてもう少し詳しく見ていきましょう。

早乙女タロウ

肝硬変とは?

擦り傷や切り傷など、皮膚に大きな傷を負うと、そこには繊維が増えて傷が治ると瘢痕(はんこん)※瘢痕画像検索(傷跡の画像ですのでご注意ください)が残ります。

肝臓でも同じことが起こります。
強く痛むとそこには繊維が増えて徐々にかたまります。

幹細胞が壊死して、線維化して起こります。
再生力が強い臓器である肝臓なので、肝細胞が壊死などを起こしても、その原因が慢性的なものでなければ新しい幹細胞で細胞は再生され、肝臓も元の状態に戻ります。

しかし、肝臓に慢性的な障害を受け続けると、瘢痕のように繊維が増えていきます。

多くの肝細胞が増えてきた繊維で島状に囲まれてしこりになったものが肝硬変です。

肝臓の表面にも同様のしこりが凹凸状になって肝臓もさらにかたくなり、血流が悪化します。
その結果、肝臓の機能も低下します。

肝硬変の原因はB型・C型肝炎によるものが多い

日本での肝硬変の原因は、

  1. C型肝炎
  2. B型肝炎
  3. アルコール性肝障害

と、C型肝炎が最も多くなっています。

その他の肝硬変の原因として、

  • 慢性的な胆汁のうっ滞によるもの
  • 先天性の代謝異常によるもの
  • 肝臓の循環障害によるもの

などがあります。

肝がんの合併が余命に大きく関わる

肝硬変の経過でもっとも大きな影響を与えるのが肝がんの合併です。

この他、食道静脈瘤の合併や肝不全の程度が患者さんの寿命に大きく影響してきます。

肝硬変の症状にはどんなものがあるの?

肝臓の位置※肝臓の位置(心臓の4倍もあり、実はもっとも大きな臓器なんです)

胃腸などのお腹周りの臓器の血液は、すべて、門脈と言う血管で一旦肝臓を通り、その後で大静脈を通って心臓に戻ります。

肝硬変があると、肝臓内の血流が悪くなり、門脈の血液が肝臓に入るときに抵抗がかかり、門脈の圧が高くなります。

これが、門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)と言う症状です。

肝臓内を通りきれない門脈血は食道の静脈をわき道として迂回して大静脈に流れていくことになります。

肝硬変で吐血するケースがあるのは、この食道部分の静脈を流れる血液が多くなり、そのために食道の静脈の圧が高まり腫れ(食道静脈瘤)、それが破れて吐血に至るわけです。

その他の症状は、腹水、黄疸、意識障害など

肝硬変の程度が肝臓の働きに影響してきます。
肝硬変のの度合いが進めば、肝機能は低下していきます。

肝硬変は自覚症状がない場合もあります。

それは、可能自体が非常に修復力の強い臓器であり、予備力も強い性質を持っています。

なので、かなり肝硬変が進んでいても肝臓としての機能があるので、症状を感じない場合もまれにあるようです。

ですが、肝臓の機能が低下してくると、以下のような症状が出てきます。

  • むくみ(浮腫)
  • 腹水
  • 黄疸
  • 意識障害(肝性脳症)
  • 出血傾向などの肝不全症状

血管への様々な影響

肝臓を通れない門脈の血液がヘソ周りの静脈へ流れ込み、この静脈がふくれるなどの症状がみられます。

  • 手掌紅斑(しゅしょうこうはん)
  • 毛細血管の拡張によるクモ状血管腫

などが見られるようになります。

また、肝臓での性ホルモンの不活性化の影響で

  • 男性は女性化乳房
  • 精巣(睾丸)萎縮
  • ED(インポテンツ)
  • 女性では月経異常

などが起こります。

門脈圧亢進症があると、その上の流れに当たる脾臓(ひぞう)が腫れ、白血球や血小板が減ったり、貧血が起こったりします。

肝硬変の治療の基本は安静と食事療法

肝硬変の療養には、安静と食事療法が大切です。

その中でも、腹水や黄疸のある場合には、入院治療が必要です。

肝硬変の食事としては、高タンパク、高エネルギーな食事が基本です。

肝性脳症の場合には、摂取タンパク質を1kgあたり、0.8gぐらいに減らし、不足分を分岐鎖アミノ酸製剤で補うそうです。

分岐鎖アミノ酸製剤とは

人間の体では、20種類のアミノ酸からタンパク質が作り出されています。その内、分岐鎖アミノ酸の3種類は、血液中のアンモニア濃度を下げ、タンパク質の代謝をよくする作用があります。なので、分岐鎖アミノ酸製剤は、肝硬変による肝性脳症を改善し、血液中のアルブミン濃度を上げる効果が期待できます。

腹水やむくみがある場合には、食塩摂取量を1日7g、または、それ以下に制限します。
便秘は肝性脳症を誘発させる原因になるので、快便になるように意識しておく必要があります。

肝がんが併発する危険性が高まる

B型やC型の慢性肝炎から肝硬変になったケースで、肝がんの合併の危険性が高まります。

また、C型肝炎の場合には、定期検査で数値に以上がなければ、肝がんへの心配は少ないのですが、B型肝炎の場合には、慢性B型肝炎からいきなり肝がんへ推移することもあるので、定期検査は重要となってきます。

肝がんの早期発見のためにも、

  • エコー
  • MRI
  • CT

などの画像で結果の判断できる検査を年に3~4回ほど定期的に受けるのが望ましいです。

肝がんの治療法としては、

  • 外科的治療の肝切除術
  • 超音波下でガンに針を刺し、針先から発生させた高熱でガンを焼き切るラジオ波焼灼療法などの局所に対する療法
  • 腫瘍に栄養を送っている血管にカテーテルを通してこの血管を閉塞させるカテーテル肝動脈塞栓術
  • 肝移植

などの方法があります。

肝硬変の予防は肝臓病の予防

経口経路からの肝炎ウィルスへの感染を予防する

肝炎の種類には、A型・B型・C型・D型・E型とありますが、A型とE型の肝炎ウィルスは、口を介して感染します。
それが便の中に排泄されます。

上下水道など、衛生環境が劣悪な地域では感染の危険性が高まります。

A型肝炎ウィルスにはワクチンがありますので、危険性の高い地域に渡航する必要がある場合には、前もってワクチン接種しておくのも予防策の一つです。

日本でA型肝炎になる場合は、生ガキなどが感染経路になる場合が多いと考えられています。

A型肝炎のウィルスは感染力が強いため、小さな子どもが多くいる家庭では、一人かかると連鎖的に他の子供にも感染するケースもあります。

十分に熱を加えることで防げますので注意しましょう。

極稀ですが、E型肝炎も日本で発症するケースがあるようです。
この場合は、イノシシ・豚・シカなどの生肉を食べたケースが殆どのようです。

血液感染する肝炎ウィルスへの予防

B型とC型の肝炎ウィルスには、血液を介して感染します。
赤く、血とわかるような量でなくても感染する場合があるので要注意です。

アディーレ法律事務所などがテレビCMしている肝炎訴訟なども、子供の頃の予防接種の際の針などの使い回しが原因です。

現在ではそのようなことはありませんが、針だけでなく、カミソリなども要注意です。

絶対に感染していないとわかる家族などでもカミソリなどの共有はしないほうが予防のためになります。

B型肝炎ウィルスには性行為で感染します。
夫婦間で検査しておくことをおすすめします。
B型肝炎のワクチンもありますので、必要な場合は利用を検討することをおすすめします。

C型肝炎ウィルスは、性行為で感染することはまれのようです。

民間療法で感染するケースも多いようです。
鍼治療などが十分に消毒されていない場合には危険です。
覚せい剤の注射の使い回しで感染するケースがあります。
ピアスの穴を開ける器具や入れ墨・タトゥーの用具など、十分な消毒ができているか確認の必要があります。

肝硬変の食事予防

  • 肥満による脂肪肝
  • アルコールによる肝障害

この2点が、会社の健康診断などで診てもらえる範囲です。

脂肪肝は、肝臓への影響ばかりではなく、動脈硬化などいいことはひとつもありません。
カロリー摂取を控えて適度な運動を心がけましょう。

飲酒の場合は、

  • 日本酒:2合まで
  • ビール:大ビン2本以内
  • ウィスキー:ダブル2杯以内

であれば、肝臓への負担も心配ありません。
さらに、週に1~2日は休肝日を設けるといいでしょう。

食事の内容は、ごく当たり前のことですが、栄養バランスのいいものを摂るようにしましょう。

カロリーの取りすぎや栄養の偏りは、肝臓病を悪化させます。

C型肝炎では、鉄分が過多になるので鉄分を控えた食事を心がけます。
ここでも、自己判断はせず、専門家の指導を仰ぐようにしましょう。

定期検査のすすめ

肝臓の病気に限らず、定期検診によって早期発見で治る病気はたくさんあります。

面倒臭がらず、定期検診を受けるようにしましょう。

衛生面での注意

これも、あらゆることに通じますが、手洗いやうがいなどは特にお出かけのあとには行うようにしましょう。

また、食事前やトイレ後の手洗いもきちんと行うようにしましょう。

 

 

いかがだったでしょうか。

今では医療の進歩などにより、完全にきれいな肝臓には戻らないまでも、普通に生活できるレベルまで機能を回復させるケースが増えてきているようです。

専門家に診断してもらい、地道に治療に取り組んでいけば未来が開けるでしょう。

何度も言いますが、自己判断で解決せず、しっかりと専門的な知識のある医療機関で診てもらうようにしてください。

早乙女タロウ

 

 

 

 

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