2017/03/17

便秘に効く漢方薬って?

 
漢方薬と便秘

一般に便秘というと「排便回数が少ない」ことだけを問題しがちですが、医学的には、排便回数よりも「いつも快便できず、苦痛がある」ことの方が問題になります。

便秘には大腸がんや子宮筋腫などの何らかの病気の影響で腸が便を輸送しにくくなっておこる器質性便秘と特別な病気がないのにおこる機能性便秘に分けられます。

器質性便秘の場合は何よりも原因疾患の検査と治療が先決となります。

多くの人が悩む便秘は機能性便秘であり、西洋医学では女性やお年寄りが長期間服用しにくい作用の強い下剤しかありません。

これに対して漢方では便秘に効果のある処方が多く、漢方が得意とする分野です。

便秘に効くおすすめの漢方薬は?

体力がない、胃腸も弱い(虚証)

  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
虚弱体質、体力低下、食欲不振、貧血
  • 小建中湯(しょうけんちゅうとう)
  • 当帰湯(とうきとう)
疲労倦怠感、急激な腹痛、血色不良
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)

大建中湯(だいけんちゅうとう)

胃腸虚弱、冷え、腹痛、やや軽度の便秘
潤腸湯(じゅんちょうとう) 体力低下、皮膚乾燥、食欲不振、高齢者

体力はふつう(中間証)

  • 麻子仁丸(ましにんがん)
多尿、手足の冷え、皮膚の乾燥、高齢者
  • 乙字湯(おつじとう)
痔、出血、女性の陰部のかゆみや疼痛
  • 大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
食欲不振、常習性便秘全般

体力は比較的ある、胃腸も丈夫(実証)

  • 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
肥満体、肩こり、胸焼け
  • 大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
  • 通導散(つうどうさん)
下腹部に圧痛、唇や爪が暗赤色
  • 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
下腹部に圧痛、頭痛、肩こり、下半身冷え
  • 三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
  • 大承気湯(だいじょうきとう)
のぼせ、不安感、胃のつかえ感
  • 調胃承気湯(ちょういじょうきとう)
腹部の張り、大黄甘草湯が効かない
  • 大柴胡湯(だいさいことう)
  • 茵陳蒿湯(いんちんこうとう)
みぞおちが固い、腹部の張り、肩こり

「虚証」や「実証」についてはこちら→「漢方薬の選び方~診断方法を知ろう~

知っているようで意外と知らない、便秘についてもうちょっと学んでみましょう!

早乙女タロウ

便秘って何?

大便が長期間に渡り大腸に留まって、便中の水分が減りかたくなり、排便に痛みなどの困難を伴う状態を便秘といいます。

便秘であることの条件2つ

  1. 3日を超えて排便がない場合
  2. 排便困難がある(なかなか出ない・残便感がある)場合

一般的には、上記の2つが重なっている場合に便秘と言います。

1~3日に1回の排便があり、排便困難がない場合には正常で、それ以外の場合には便秘と考えて良いでしょう。

便秘の問題点3つ

  1. 便秘そのもののつらさ
  2. 病気を起こす原因になる(大腸の病気:がん・ポリープ・大腸憩室・虚血性大腸炎など)
  3. 病気の結果、便秘になる(がん・イレウス・巨大結腸症などの病気の症状として)

注意が必要な便秘の症状6つ

  1. 普段通りの生活をしているのに便秘になった
  2. 下剤無しで排便ができない
  3. 腹部が張って苦しくて食欲が出ない
  4. 食べたものを吐いてしまう
  5. 便が滞っていて痛いような腹部の違和感
  6. 血便が出る

このような場合には、医療機関で診てもらうか、漢方の専門家に診てもらいましょう。

便秘の種類

大きくは2つです。

機能性便秘

さらに3つの種類があります。

弛緩性便秘(しかんせいべんぴ)

腸管が全体的に弛緩・拡張して、運動と緊張の低下から腸内のものの通過が遅く、そのために太くてかたい便が出ます。
腰痛や苦痛と言った症状はあまりありません。

高齢者・多産婦・食事を少ししか食べない人・下剤を頻繁に使用している人、などに見られます。

胃潰瘍や高血圧の薬が原因になっている場合もあります。

痙攣性便秘(けいれんせいべんぴ)

腸管の緊張が高まって、腸内容物排便へと進むのと関係ない動きをしてしまう状態の便秘です。

若い年齢層に多く見られます。
コロコロとした便が少し出るだけで、残便感が残ります。

過敏性腸症候群に見られ、下痢と便秘が交互に起こる「交替性便通異常」となるケースもあります。

排便前に腹痛が起こる場合が多く、排便後は不快感がなくなるのが特徴です。

直腸性便秘(ちょくちょうせいべんぴ)

最も多いタイプの便秘で、直腸壁の排便反射(食事の後に便意を感じたときの状態、このときに排便しないと便意が失せてそれが続くと便秘になる)の障害が原因となっています。

便が直腸に到達しても便意が起こらず便秘の状態が続きます。

習慣性便秘とか単純性便秘、などと言われます。

仕事や旅行などで排便を無理やり我慢すると起こりやすくなります。

水分の少ない堅い便が出ますが、その方い便(コルク便)が出ると反対に柔らかい便が大量に出ることがあります。

器質性便秘(きしつせいべんぴ)

腸に器質的な病気(明らかに損傷などの障害や病変がある)があり、通過(消化しながら進む様子)障害によって起こる便秘です。

注意しなければいけないのは結腸がん・直腸がんなどの大腸がんが原因のものです。
急に便秘になったり、血便が出たり、便が細くなる、などの症状には十分注意が必要です。

腹部の手術によって癒着が原因で起こる場合もあります。
婦人科系の手術でも可能性があります。

便秘の予防と対策

ここでは、機能性便秘で、心配のないタイプの便秘の予防と対処法についてお伝えしていきます。

急に便秘になったり、血便になったり、便が細くなるなどの便秘は要注意ですので検診を受けられることも考える必要があります。

弛緩性便秘と痙攣性便秘の対処法9つ

  1. 症状に合った漢方薬を処方してもらう
  2. 食物繊維が豊富な野菜・果物を摂る
  3. 朝食後、トイレに行く習慣を付ける
  4. 便意を我慢しない
  5. 適度な運動をする
  6. 水分を十分に摂る(心臓・腎臓・高齢・高血圧の方は注意が必要)
  7. お腹のマッサージをする(大腸の流れに沿って「の」の字を書くように右回りに行う)
  8. お腹を温める(血行促進のため)
  9. それでも排便できない場合には下剤・坐薬・浣腸

出来る限り、下剤などには頼らず、生活習慣の改善と漢方薬で改善するように持っていきましょう。
自己判断はせずに、違和感を感じる場合には診察を受けるようにしましょう。

早乙女タロウ

 

 

 

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