胆石症・胆嚢炎に漢方薬は軽い症状の場合には有効

 
胆石症、胆嚢炎・胆管炎と漢方

脂肪の消化や吸収に関連する消化酵素である胆汁は肝臓で作られ、胆道を通過して胆嚢に一時期に蓄えられ、濃縮されます。
そして必要に応じて、胆道を通過して、十二指腸に供給されます。

胆道

画像:日本消化器外科学会

胆道とは、上図の右肝管・左肝管・総肝管・総胆管・胆嚢・十二指腸乳頭部を総称して胆道と言います。

この胆道にコレステロールや胆汁成分が固まり、石のようになって(結石)たまるのが胆石症です。
胆石症の主な症状は、発作性の激しい上腹部痛(疝痛発作)で、その際に黄色い胆汁の混じった液を吐くこともあります。

一方、胆嚢炎は、細菌感染などによって胆嚢に炎症が起こるもので、胆石症の人に見られます。

これは胆石があると胆汁がうっ滞し、細菌が感染し易くなるためです。

胆嚢炎が急性に発症すると、高熱とともに右上腹部やみぞおちに強い痛みがおこります。

また胆嚢炎が慢性化しているような場合は右上腹部にシクシクするような鈍痛や不快感がありますが発熱はほとんどありません。

激しい疝痛発作がある胆石症や急性の胆嚢炎では、西洋医学を優先します。
症状が軽い場合は結石を溶解する西洋薬または漢方薬での治療を行います。

慢性胆嚢炎の場合も、症状が軽い場合の胆石症と同様の漢方薬が用いられます。

胆石症・胆嚢炎の治療に使う漢方薬

体力がない、胃腸も弱い(虚証)

  • 大建中湯(だいけんちゅうとう)
手足の冷え、腹痛、嘔吐、腹部膨満感
  • 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
体力低下、頭汗、動悸、口渇、腹痛

体力はふつう(中間証)

  • 小柴胡湯(しょうさいことう)
胸脇苦満がある。食欲不振、疲れ易い
  • 四逆散(しぎゃくさん)
胸脇苦満が強い。肩こり、口中が苦い
  • 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
胆石症の疼痛が強い。のぼせ、発汗
  • 茯苓飲(ぶくりょういん)
嘔吐、心悸亢進、上腹部のつかえ、食欲不振

体力は比較的ある、胃腸も丈夫(実証)

  • 大柴胡湯(だいさいことう)
胸脇苦満が強い。便秘
  • 茵陳蒿湯(いんちんこうとう)
口渇、胸苦しい、便秘、腹部膨満感、尿量減少

※「虚証」や「実証」についてはこちら→「漢方薬の選び方~診断方法を知ろう~

ここからは、胆石症・胆嚢炎についてもう少し詳しく学んでいきましょう。

花田サキ

胆石症とは

胆道内で胆汁成分が固まったものが胆石です。

  • コレステロール胆石
  • 色素胆石
  • その他のまれな胆石

の3種類の胆石があります。

胆石がある場所によっても呼び方が違います。

  • 胆嚢胆石
  • 胆管胆石

コレステロール胆石が増加

胆石症は女性に多いようです。
そして、加齢に伴い頻度が高くなります。

日本でも欧米と同じようにコレステロール胆石が多く、全体の約70%を占めます。

日本人の食生活が欧米化し、コレステロールが多く摂られるようになったためです。

コレステロール胆石

コレステロールは水溶性ではないため、胆汁の中では胆汁酸やリン脂質(特にレシチン)に補助されて溶けています。

ですが、胆汁中のコレステロール値が上昇しこれ以上許容できる範囲を超えると、その一部が析出※1します。

これが核となって、コレステロールがどんどんと析出します。
胆汁の中の胆汁酸やレシチンの割合が少なくなっても、胆汁の成分バランスが崩れているので胆石ができやすくなります。

※1:液状の物質から結晶または固体状成分が分離して出てくること。

色素胆石

胆汁の中のビリルビンが析出してできた胆石のことを指します。

色素胆石には、

  • 黒色石
  • ビリルビンカルシウム石

があります。

黒色石

胆嚢内にできます。
最近の感染はありません。

ビリルビンカルシウム石

胆嚢・胆管の両方でできます。
細菌感染を伴う場合が多いです。

胆石症の症状は?その特徴は?

突然始まる激しい痛みが特徴です。

右上腹部が痛む場合が多いです。

発熱を伴う場合には、細菌感染による炎症が伴っていることを疑う必要があります。
黄疸を伴う場合には、胆汁の流れを阻害する胆管の閉塞が疑われます。

疝痛発作

胆石症の腹痛は、過労や過食で起こる場合が多いです。
疝痛(せんつう)発作と呼ばれます。
痛む場所は真ん中から右にかけての上腹部です。
場所がお腹の上の方だけに胸の痛みと間違えることもあるようです。

腹痛と一緒に右肩や右肩甲骨に痛みが走ることもあり放散痛(ほうさんつう)とも呼ばれています。

  • 胃や十二指腸の潰瘍が穿孔(せんこう)を起こした場合
  • 急性膵炎
  • 腸閉塞

などが、胆石症と同じような痛みを感じるようです。

  • 狭心症
  • 心筋梗塞

などと、胸の痛みが出た場合には勘違いされることもあるようです。

感染による発熱

胆石があると細菌に感染しやすくなります。
ビリルビン結石では、細菌感染がその原因になっています>

炎症を伴い、発熱することも多くみられます。
この炎症の状態を、胆石胆嚢炎と言います。

激しく症状が現れた場合には、38°以上の高熱になることもあります。
全身の悪寒で震えを伴うこともあります。

反対に、微熱程度で治まることも多々あり、腹痛がない場合には発熱の原因を特定することは難しくなります。

胆石症の検査と診断方法は?

胆石症の診断には以下の方法を用います。

  • 超音波検査(簡便で多く使われています)
  • CTやMRI(超音波だけでは不十分な場合)
  • 逆行性胆管造影法(さらに詳しく検査する場合)
  • 単純X線(頻度の高いコレステロール胆石は発見できません)

胆石の治療法は?

  • 症状の有無
  • 炎症の有無
  • 胆石の種類と部位
  • 個数
  • 全身状態

などを総合的に判斷して治療方針を決めます。

無症状の場合には基本的に経過観察になる場合が多いです。

胆石溶解療法

胆嚢内のコレステロール胆石で小さめのも場合に適応されます。
胆石溶解作用のある製剤の服用で胆石が溶けてなくなる事がある、体への負担が少ない治療法ですが、半年から1年と長くかかります。

胆石破砕療法

体の外側から特殊な衝撃波を胆石に当てて粉砕します。
その後、胆石溶解作用のある製剤の服用で溶かしていきます。
体外衝撃波胆石破砕療法と言います。

石灰化がなく、胆石の直径が2cm以下の場合で個数が少ないときに行います。

内視鏡的胆石除去術

総胆管に胆石がある場合に行います。
内視鏡を総胆管が開く十二指腸まで挿入し、ここから操作し、胆石を砕いたり取り出したりします。

腹腔鏡下胆嚢摘出術

腹部に幾つかの穴を開け、腹腔鏡と呼ばれる内視鏡でお腹の中を注意深く観察しながら、挿入した器具を体の外から操作しながら胆嚢を摘出する方法です。

傷口が小さくて済むため、術後の痛みも少なく早く回復ができるので、入院期間が少なくて済みます。

開腹胆嚢摘出術

胆嚢胆石症に長く行われてきた療法です。
安全性が高いのが特徴です。

しかし、近年では、体への負担の少ない腹腔鏡下胆嚢摘出術が選択されることが増えています。

  • 腹腔鏡下の手術ができない場合
  • がんの併発がうたがわれる場合
  • 胆嚢以外にも胆石がある場合

には、開腹して摘出する必要があります。

胆石症の治療後に注意すべきこととは?

腹痛が続いたり、上腹部の不快感がある場合があります。
胆嚢内の圧力の調整がうまく言っていないケースがあります。

手術前には胆嚢の働きが割りとよかた場合に起こりやすい症状です。
胆嚢摘出後症候群と言われています。

胆石がある場合にはどこに注意して生活すればいいの?

胆石がある人は症状が起こるのを防ぐために脂っこい食事、暴飲暴食を避けましょう。
過労やストレス過多もいけません。

中高年になれば、定期検診も重要です。
胆嚢癌などの合併症を防ぐためにも重要なことです。

胆嚢炎・胆管炎とは?

細菌感染が原因で起こる胆嚢や胆管の炎症を指します。
原因になる細菌は、大腸菌などで胆道を逆流してきて、感染が起こります。

胆嚢炎や胆管炎の症状は?

  • 発熱
  • 上腹部痛
  • 黄疸

などがみられます。

血液検査では、白血球の増加、炎症反応が陽性となって肝胆道系の酵素に以上がみられます。

胆管が閉塞し、そこに細菌が繁殖すると、急性(閉塞性)化膿性胆管炎という重症の病気が起こります。
この胆管炎は細菌が血液中に入り込んで敗血症を起こしたり、細菌毒素(エンドトキシン)により意識障害やショック状態になる場合があります。エンドトキシンショックと呼ばれます。

ショックに対する治療に加え、強い抗菌薬の投与、閉塞している胆管内の炎症物質や胆汁の除去をドレナージ法などで緊急に行う必要があります。

ドレナージ法とは
体内に貯留した液体、または気体を体外に排出することをドレナージと呼び、外科の領域では、腫瘍組織の摘出などの手術後、体の中に生じた空隙(体腔この言葉の解説ウィンドウを開く)に溜まった血液や組織浸出液この言葉の解説ウィンドウを開くなどを体外に誘導し、排出することに適用されます。

引用元:カネカメディックス

  • 胆嚢に膿がたまる場合
  • 孔(あな)が開いてしまい胆汁が漏れる場合
  • 胆嚢の周辺に化膿性病変が広がっている場合

などには、内科的、漢方的な治療では不十分で、外科的な開腹しての措置が必要になります。

 

いかがでしたか?

軽度の場合には生活習慣に気をつければ症状が出なくて済む場合もあるようですが、症状が出たらすぐに専門医に診てもらいましょうね。

いつも言っていますが、独自で判斷しないできちんと診断してもらいましょう。

花田サキ

 

 

 

 

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