2017/05/21

前立腺肥大症の軽症の場合には漢方薬での治療が効果的

 

あなたは、頻尿や残尿感といった排尿に関する不快感はありませんか?

早乙女タロウ

前立腺は、膀胱と尿道括約筋との間にある栗の実程の大きさの臓器で精液を分泌しています。

前立腺の位置・場所

60歳頃になってくると、性ホルモンのバランス失調などの影響で、前立腺の中にこぶ状の腫れ物(腺腫)が出来、前立腺全体が大きくなってきます。

これが前立腺肥大で、60歳代の60~70%に見られます。
一種の老化現象ですが、前立腺肥大の起こった人の25~30%程度は肥大が著しくなり、頻尿や排尿障害がおこります。

前立腺肥大症は、進行状況により、夜間尿・残尿感などの症状が自覚される第1期、排尿障害が進む第2期、残尿が悪化して膀胱拡張や腎不全が起こる第3期に分けられます。

第2期の後半以降は、西洋医学の外科的な処置が必要となります。
一方、漢方薬は、主に第2期の前半までの比較的軽症のケースに多用されます。

また外科的治療を行う場合でも、症状の軽減や再発防止のためにしばしば漢方薬を併用します。

前立腺肥大症の治療に使われる漢方薬

体力がない、胃腸も弱い(虚証)

  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
夜間尿、排尿後不快感、冷え性、腰の脱力感
  • 牛車腎気丸 (ごしゃじんきがん)
八味地黄丸の証で、排尿障害や浮腫が特に強い

体力はふつう(中間証)

  • 猪苓湯(ちょれいとう)
排尿困難、残尿感、血尿、尿量減少、口渇
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
頻尿、多尿、肩こり、手足の冷え、のぼせ

体力は比較的ある、胃腸も丈夫(実証)

  • 大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
便秘、排尿困難、頻尿、排尿痛、下腹部緊張
  • 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
便秘傾向、排尿障害、手足の冷え、のぼせ

※「虚証」や「実証」についてはこちら→「漢方薬の選び方~診断方法を知ろう~

ここからは、前立腺肥大症についてもう少し詳しく学んでいきましょう。

早乙女タロウ

前立腺肥大症とは?

前立腺は精巣で作られて血液中に分泌される男性ホルモンと切っても切れない関係があります。
前立腺は、男性ホルモンの標的器官で、男性ホルモンによって支配されているともいえます。

標的臓器とは
標的器官とは、ホルモンの作用を受ける側の器官のこと。 ホルモンはある器官(分泌器官)から血液中に放出されると、そこから離れた別の器官(標的器官)に作用する。

引用元:1年生の解剖学辞典

前立腺の成長も男性ホルモンによるところが大きく、何かの理由で男性ホルモンが遮断されてしまうと、前立腺も萎縮してしまします。

前立腺肥大は中高年の男性に多い

50歳くらいで正常な前立腺の発育は横ばいになります。
しかし、何らかの原因で50歳をすぎる頃から再び前立腺が大きくなっていくことがあります。
これを前立腺肥大症といいます。

この前立腺が肥大する理由ははっきりと解明されていませんが、本来なら、前立腺として活発な機能を営んでいる前立腺の外部の部分(外腺)の機能が衰え、内側の部分(内腺)に男性ホルモンが取り込まれ、そこで男性ホルモンが活性化されて前立腺の細胞が増殖し、肥大すると考えられています。

前立腺の内腺・外腺

画像引用元:前立腺がん

前立腺肥大症の症状は?

排尿困難

前立腺肥大症は、前立腺の内腺に病変が起こる、前立腺がんは外腺に起こる、ということがはっきりとわかっています。
前立腺の中央には尿道が走っていますので、前立腺肥大症の場合には、前立腺がんと比べて早い段階で排尿が困難になってきます。

前立腺肥大症の症状というのは、腫れ上がった前立腺と尿道の関係が非常に大きく、尿道が前立腺に圧迫される=細くなる、ではないために尿道が潰される、ということになります。

前立腺肥大症の症状は、行き着くところ排尿困難ということになります。

50歳を過ぎた方が、排尿が少し困難になってきたと感じたら早めに泌尿器科を受診されることをおすすめします。

頻尿

頻尿とは、文字通り頻繁におしっこに行くようになることです。
特に夜間の頻尿は前立腺肥大症の症状としては初期症状となります。

ですが、前立腺肥大症の初期症状として必ず出るものではありません。
どことなく尿が出にくい…という感じがするのが特徴です。

頻尿を訴える人の中には、前立腺肥大症ではない人も多くいます。

このことは頭に置いておくべきです。

前立腺肥大症のチェック方法

国際前立腺症状スコアでチェックする

国際前立腺症状スコア

引用元:国際前立腺症状スコア(I-PSS)・QOL スコアシート

排尿障害の問診では、最近、国際前立腺症状スコアが使われます。
1995年にWHO(世界保健機構)が設置した判定基準です。

これを使うと、排尿障害の自覚の程度から客観的に把握できるので便利です。

簡単にチェックできるようになっていますので、最近1ヶ月のあなたの排尿状態を7つの質問で答え、合計を出してみましょう。

評価:

  • 0~7点=軽症
  • 8~20点=中等症
  • 21~35点=重症

となります。

前立腺肥大は腎臓の機能を低下させる?

前立腺肥大症が進んだ人は尿を最後まで出しきれなくなってきます。
これを残尿感といいます。

残尿が絶えず多くある場合には、尿失禁にもつながります。

このようになってくると、膀胱が変形して縦に伸びて、さらに、内壁がギザギザになり、クリスマスツリーのようになってきます。
そのうち、膀胱内にたまった尿が尿管へと逆流するようになってきます。

こうなってくると、腎臓の機能が低下し、放っておけば腎不全を起こします。

前立腺肥大症による腎不全は、尿管に逆流する尿の圧力で力学的に腎臓に影響を及ぼすものです。
なので、尿管や腎臓の中が膨らんでいる水尿管、水腎という長い経過を経て初めて腎不全に至ります。

急激に腎不全になるのではありません。
前立腺肥大症は必ず腎不全を合併するわけではありませんが、放っておくと腎不全になるケースもあることは知っておくといいでしょう。

前立腺肥大症の診断方法と治療法

前立腺肥大症の自己判断は禁物

前立腺肥大症と似ていて、実際は異なる病気も多いことから、自己判断は禁物です。
必ず、専門医に診てもらって、治療方針を決めてもらいましょう。

今のところでは、前立腺肥大症の診断と治療は、前立腺肥大症 診療ガイドラインと言うものがあり、それをもとに行うようにされています。

そこには、診療アルゴリズムと言うものが載っています。

前立腺肥大症の診療アルゴリズム

実際の診察で行われるのは肛門から中に指を入れ、診断する、直腸診です。

前立腺は直腸の前にありますから、直腸壁をを通してよく触れることができます。
かなり大きくなっている状態で、鶏卵大ほどにもなります。

大きさが重要ではなく、どのように尿道に関わっているのかが大切です。
直腸診だけでは的確な診断とはいきません。

X線診断、エコー診断、尿道鏡検査も必要になる場合があります。

薬の進化

前立腺肥大は、男性ホルモンを分泌する精巣を取ってしまうと起こりません。
また、女性ホルモンを与えると、肥大の進行を抑えることができます。

この事実を根拠とし、多くの研究の結果、男性ホルモンによって前立腺の肥大は起こることがわかってきました。

男性ホルモンが前立腺の中に取り込まれ、肥大が起こるまでの過程でこれを食い止める薬物が開発され、肥大を小さくする作用が認められています。
ですが、前立腺がんができた場合に、これを発見しにくくしてしまうことが問題で、以前ほどは使われなくなっています。

また、副作用もあるので、必ず、医師の指導のもとで使用してください。

原則は外科手術

非常に大きく肥大した前立腺は、原則として外科手術です。
現在では、症状や状態に合わせて様々な手術方法が考えられています。

前立腺肥大症のセルフケア

急に尿が出なくなったら

前立腺肥大症の人はいつ尿閉になってもおかしくない状態だと把握しておきましょう。

尿閉とは、膀胱の中にたまった尿が、1滴も出なくなる状態を指します。

下腹部はかたく膨らみ、押すと鈍い痛みを感じます。
更には、尿が膀胱にたまると強烈な尿意を覚え、時には、苦痛で七転八倒することもあります。

前立腺肥大症の場合は、薬剤によって、尿閉が起きます。
抗コリン作用を持った薬剤(消化性潰瘍やパーキンソン病などに使用される)、もしくは塩酸エフェドリンが入っている薬剤(かぜ薬や鎮痛剤など)が誘発して、尿閉になることはよく見られます。

尿閉は、尿が詰まっただけで症状は痛く激しくても、あまり危険なものではありません。
心臓の悪いお年寄り等の場合には尿閉が心筋梗塞や心臓病を誘発する場合はあります。
手遅れになる前に早めに医師に診てもらい、必要であれば、尿道カテーテルで尿を出してもらう事もできます。
これを導尿といいます。

尿道の圧迫が軽い場合には、導尿も可能ですが、前立腺の肥大が進み尿道の圧迫がひどい場合にはカテーテルの挿入が困難な場合もあります。
この場合は泌尿器科へ行くようにしましょう。

前立腺肥大症の予防と注意事項

前立腺肥大になった場合には、尿路への細菌の感染や尿閉を防ぐために寒さを避けることが大切です。

寒い中でのゴルフ、長時間座り続ける、などで下半身の血流が悪くなり、尿路への細菌の感染や尿閉を誘発します。
また、深酒も同様の結果を引き起こします。

排尿を長期間がまんすることや自転車やオートバイのように局所に刺激が加わることもいいことではありません。

反対に、軽い全身運動や入浴は排尿の状態を改善するのに役立ちます。

 

いかがだったでしょうか。

初期段階なら漢方薬が有効だとか。

排尿に関して、少しでも「?」や「!」という感じで「しまった」と思うようなことが続いた場合には専門医に診てもらうと同時に、漢方薬の専門家のところにも相談に行くといいかもしれませんね。

ただ、自己判断せずに、専門家に診てもらうことは忘れないで下さいね。

早乙女タロウ

 

 

 

 

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